私は英文学科を卒業しており、卒業論文を英語で書きました。
帰国子女だったりTOEICで高得点を獲得しているわけでもない普通の学生だったのですが、卒業論文を書くときに「英語が苦手で困る」、「英語で書けなくて大変!」と思ったことはほとんどありませんでした。
理由はおそらく文法が苦手ではなかったからだと思います。
これから英語で卒業論文を書く予定がある学生さんの中には、「英語で卒業論文なんて書けるのかな」と不安になっている人もたくさんいると思います。
でも、英語の論文で使われている表現は高校生までに習った基本的な英文法ばかりです。
この記事では、実際に英語で卒業論文を書いた私が
- 論文を書く際に役に立ったと思う勉強
- どんな勉強をすればいいのか
- 卒業論文を書くのに必要な文法のレベル感
をお伝えします。
文法が一番大事
英語で卒業論文を書くと聞くと、
- 難しい表現ばかりで意味が分からなそう
- 専門用語が英語で難しそう
というイメージがあると思います。
でも文法が正しく理解できていれば、英語の論文を書いたり読んだりするのもそれほど苦労しないはずです。
高校生で習う英文法を全部おぼえる
繰り返しになりますが、私は英語の論文の基本は文法だと思っています。
卒業論文を執筆するなら、正しい英文法が頭に入っていないと書けませんし、いちいち文法を調べながら書いていたら時間がかかります。
じゃあどんな文法をおぼえればいいの?という疑問に一言でお答えすると、高校生までに習った英文法全部です。
英語論文には特別な文法があるわけではなく、英語の論文であっても使う文法は高校生までに習った文法ばかりです。
高校生までに習った文法を完璧に覚えていれば、論文を書いたり読んだりするときにスムーズにできます。
文法全部やらなきゃいけないの?と思うかもしれませんが、自分の考えを英語で表現するなら文法を自由自在に使えることは必須です。
簡単な文法から難しい文法まであり、さらに人によって得意な表現も苦手な表現もあると思いますが、伝えたいことを英語で表現できないってつらいですよ。
私自身は、高校生の間に英文法や英語構文を必死で覚えたことが、英語の論文にも役に立ったと思っています。
特に、いわゆる『受験英語』と呼ばれる英単語や英文法、英語構文は、大学に入学してから論文を読んだり書いたりするときにはとても重要でした。
たとえば、英語の論文の特徴として、1つの文章がとにかく長いという点があります。
「that」「to」「,」「;」などで複数の文が繋げられた結果、1文が3行以上にわたって書かれています。
そのせいで、主語と述語が離れていたり、関連する単語同士の間に別の内容が入ったりして、理解するのが難しくなっています。
でも、そんな難しい文章でも大学受験で経験した英語の試験ができればほとんど理解できるくらいの難易度だったと思います。
1文を分解した上で文法に沿って読んでみると、一つひとつは難しいものではありません。
辞書を使って専門用語の単語の意味を調べつつ、文法を適切な順番で読解していけば読み進めることができました。
そして次第に自分でも表現を使えるようになります。
このように、高校生までに習った文法がわかるだけでスムーズに論文執筆ができます。
苦手な文法表現がある場合や、文法は自信がないという方は、薄い問題集や参考書、YouTubeやアプリを利用して高校生の内容を復習しておけば今後ラクになるはずです。
卒論以外の授業やバイト、就活などで忙しく、文法だけに時間はかけられないと思うので、気軽にできる自分に合った方法をさがしてみてくださいね。
私は【英文学科卒が答える】「受験英語」は役に立たないのか?という記事に書いたとおり、海外セレブのSNSのような、スラング(若者ことば)や流行の表現は読解するのが苦手なのですが、論文や書籍は文法通りの表現なので得意です。
受験英語が役に立ったと思った経験を書いていますので、学校で習う英語が苦手な方や、教科書で習う英語は意味がないと思っている方も読んでみてください。
文法が苦手だと大変
文法が苦手な友人は、「自分が書きたい内容が英語の文章にできない」と執筆で少し苦労していました。
私のゼミでは、途中経過を教授に添削してもらうために提出する際は、論文をプリントアウトして教授宛のポストに入れる形式でした。
(メールにデータを添付して送ることはほとんどありませんでした。)
提出時に、教授と会話をしたり補足説明や疑問点などをメモ等で伝えることはできません。
英語で論文として書いた内容しか教授に伝わらないので、論文がめちゃくちゃだとそのままの評価になってしまいます。
自分が伝えたい内容も教授に伝わらず、添削してもらった論文は文法を訂正されて真っ赤になっていました。
それでも執筆を進めるうちに正しい表現も身についてくるので、4年生の前期だけだったかなとは思いますが……
高校生のときに使っていたテキストで十分なので、文法が苦手なかたは復習しておきましょう!
大学受験の差はあるかも
わたしが高校の文法をおぼえられたのは大学受験のおかげです。特に、自分で文章を構成する英作文の勉強が役に立ったと思います。
私は一般入試に向けて英作文の練習をたくさんしました。実際に自分で文章を作ってみると、文法問題を解くだけではおぼえられないような表現もできるようになります。
私は英文学科の一般入試に向けて受験勉強をしていたので、
「英語の配点が大きいから英語頑張らなきゃ」
「英文学科を受ける学生はみんな英語が得意なはずだから、その人たちと同じくらい英語ができなきゃいけない」
と焦って、必死に英語を勉強したことをおぼえています。
英作文だけでなく、文法、単語、長文読解どれも頑張りました。
おかげで私は文法に苦手意識がなかったのですが……大学の受験形式は推薦、センター試験利用、一般入試、大学によってはエスカレーター式の内部進学とさまざまで、対策も違うため勉強してきた内容も違いますよね。
なかには英文学科が第一志望ではなかった学生さんもいるのではないでしょうか。
そうなると、もしかしたら受験を経験していても文法を完璧に覚えてないという人や、自信がないと思う人もいるかもしません。
実際、同じ大学の同じ学科にいる人でも英語力には差があるので、論文をスラスラ書ける人と書くのが苦手な人がいます。
でも自分は向いてないと思わず、空いた時間に文法の勉強に取り組んでみてくださいね。
慣れることも大事
英語の論文によく使われる表現や単語はだいたい同じようなものが多いです。
聞き慣れない専門用語も、同じ分野の論文を読んでいるとよく出てくるのでおぼえてしまいます。
表現についても英語の論文独特な表現があるのですが、論文や書籍を読んでいると何百回も出てくる表現なので、さすがに慣れて自分でも使えるようになりました。
このあとのおすすめの勉強法でもお伝えしますが、英語で書かれた論文をたくさん読んだり、執筆の際にいろんな表現に挑戦して教授に添削してもらったりするのは重要だと思います。
おすすめの勉強法
英語の論文や書籍を読んでみる
実際に英語で書かれた論文や書籍にふれることが大事です。英語で論文を書く際には、英語の文献(専門家によって書かれた論文や書籍)を読むことがあると思うので、その機会を活用してください。
わたしが実践していたのは、読む論文や書籍をコピーして、実際にメモを書ける状態で読むことです。タブレットに取り込んでメモができるアプリを使うのもOKです。
一文が長い文章や、複雑で理解できない文章があったら、意味の切れ目や文節に/(スラッシュ)を入れたり、→(矢印)を書き入れたりして、どのように文章が構成されているのか確認します。
また、文章を一つひとつ日本語に訳す必要はありません。
長い文章を見たときに、どこが主語と動詞の組み合わせになっているかを判断して、正しく内容を理解できればいいので。
自分で論文を読んでみて、分からない文法や苦手な表現があれば重点的に練習してみてください。
そして、論文に使われている文法や表現は似ているものが多いので、文法や表現の使い方に慣れて、自分の論文でも表現を使ってみましょう。
書籍を購入する
英語論文を書く際に必要な表現や方法を集めた本があります。
内容も表現も自分では考えられないものばかりなので、本に載っている表現をたくさん使うと表現も内容も本格的な論文ができあがります。
こういう内容も入れるといいのかと、論文に書く内容の参考にもなります。
今、実際に手元にある書籍を読んでみると、「こういう表現を使ってこの内容を入れていたら、説得力のある論文になっただろうな」と思うものがたくさんあるので、もっと書籍を活用するべきでした。
私の大学では卒業論文を書き始めるときに学科から指定された書籍を全員が購入したので、同じように大学から書籍を指定される場合があるかもしれません。
自分で書籍を購入する際は、念のため今後学科で指定の書籍を購入する予定があるかどうかを確認していただいた方がいいと思います。
論文を添削してもらう際はいろんな表現にチャレンジする
卒業論文の完成までに、何度か教授に提出して内容や英語表現を添削してもらう機会があると思います。
最終的に文法や表現にミスがなく、内容も含めて良い卒業論文を完成させることが目標なので、最初は間違っていても大丈夫です。
さらに、英語の論文では、同じような文章の繰り返しは好まれず、表現を変えて説明することが必要です。たくさんの表現方法を身につけておいた方が論文の完成度が高まります。
教授は毎年学生が書いたいろんな論文を添削しているので、文法のミスや意味不明な文章も正直見慣れていると思います。
「間違ってるかな」とか「変な表現かな」とか心配する必要はありません。
文法や表現のミスをする学生よりも、なかなか論文執筆や必要な研究を進めない怠けた学生(当時の私)の方が迷惑です……
文法が苦手でも必死に論文を書いて、次第にミスが減っていく学生のことは教授も応援してくれると思うので、少しずつでも着実にスキルアップしていきましょう!
まとめ
英語で論文を書くために、たくさん勉強をして時間をかける必要はありません。
しかし、英文法で苦手な項目がある場合や、英語の論文を読んでいて理解できない表現があった場合は、分かるようになるまで苦手を克服してください。
あとは実践あるのみ。
複雑な構造の長い文章に慣れたり、苦手な表現を重点的に練習すれば読めるようになったり、自分の論文でも表現を使いこなせるようになったりします。
ほかにも、論文作成に向けた授業や、教授からのサポートがあれば活用してくださいね。
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